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税理士の資格をとりたい!税理士試験の概要や合格率を紹介

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税理士になるには条件を満たす必要がある

税のスペシャリストとして社会のニーズが高い税理士になるためには税理士試験をパスしなければなりません。

試験を受けるためには条件があり、大学や短大、専修学校に行って法律、経済学の勉強をしていない人、仕事で士業関係の業務を2年経験していない人は日商簿記1級合格または全経簿記上級合格する必要があります。

税理士試験を受けて合格すれば、税理士として税の業務に就くことが可能になります。

税理士の資格試験とはどんなもの?

税理士試験には珍しい特徴があります。一つ目は11科目のうち5科目パスすれば国家資格を取ることができるということです。自分の得意分野や難易度、学習のしやすさから組み合わせて好きなものを選択できます。

二つ目は、一度パスした科目は一生有効ということです。このことから毎年一科目ずつ受けることも可能で、働きながら少しずつ勉強していくこともできます。

税理士資格の概要

税理士試験は各国税局、国税事務所の所在地等の全国12~16か所で行われます。日本税理士連合会が開催しており、合格者は同連合会が備える税理士名簿に登録されます。

税理士は税理士事務所などの法人を設立することができ、設立の際には日本税理士連合会に届け出る義務があります。税務は税理士の独占業務であり、資格を有さないものは税理業務を行うことはできないとされています。

資格概要
試験の開催時期 例年8月上旬に実施
受験料 4,000円
申込受付時期 例年5月上旬
年齢制限 18歳以上
学歴制限 指定された教育機関で法律学と経済学を履修した者
その他制限事項 日本国籍を有する者、日商簿記検定1級
全経簿記検定上級を既に取得している者
合格基準 選択試験60%、筆記試験60%以上の正答率で合格(配点調整あり)
合格発表時期 例年12月下旬

税理士の試験の形式

税理士試験には一次試験や二次試験はなく各科目一度の試験になります。11科目のうち5科目選択する必要があり、内容は筆記式で理論と計算問題です。

一度に5科目すべてに合格する必要はなく、長期に渡って一科目ずつパスしていく方法もあります。公認会計士試験のように6科目を基本的には1発でパスしなくてはならないことを考えると、余裕を持って対策していける試験といえるでしょう。税理士試験の全11科目と必要な基礎知識をまとめたので、学習の参考にしてください。

科目名 必要な基礎知識
簿記論 日商簿記3級
財務諸表論 日商簿記3級
所得税法 日商簿記3級
法人税法 簿記or財表の学習経験
相続税法 不要
消費税法 日商簿記3級
酒税法 不要
国税徴収法 不要
住民税 不要
事業税 日商簿記3級
固定資産税 不要

税理士の近年の合格率

税理士試験の近年の合格率をご紹介します。税理士試験は国家資格の中でも難関となっており、13~17%の間を推移しています。

合格率の高い年代は40代となっており、20代から働きながら一科目ずつパスしていく人が多いことをうかがえます。5科目すべてに合格していなくても税理士事務所で働くことが可能なので、働きながら実務を経験することができます。

年度 合格率
2018年 13%
2017年 17%
2016年 13%
2015年 15%
2014年 14%

税理士の独学難易度

税理士試験を独学で突破するのは難しいといわれていますが、合格率の低さは記念受験する人が多いことからもきています。

最初から5科目すべてにパスするつもりがない人も多いのです。一科目ずつ長期に渡って受け続ける人が多いことから、例年の合格率が低いのもうなずけます。独学を考慮している人は見かけの合格率に惑わされずに、長期の学習計画を立ててみましょう。

独学難易度
必要な勉強時間 3,800時間
独学で合格できた人の割合 10%以下
難易度判定 ★★★★★

一科目ずつ丁寧に学習することが合格のポイント

独学合格者の割合は少なくなっていますが、一科目ずつの合格率は違ってきます。一科目ずつ数年に分けて計画的に学習することにより、独学で試験突破することは十分可能です。

社会人は試験勉強と仕事を並行する必要があるため、ゆっくりでも確実に丁寧な学習をしていくことが大切です。適当に勉強していると一科目も受からないまま時だけが過ぎることにもなりかねません。日常生活とのバランスを取りつつ効果的な学習をしましょう。

模試を定期的に受けて習熟度を把握する

独学は自分ひとりで行うため習熟度を把握することが難しくなります。このため模試を定期的に受けて学習効果が上がっているかを確認しましょう。

模試の難易度にもよりますが、上位20%に入っていれば合格の可能性が高くなります。模試の結果が悪ければ日ごろの勉強方法に問題があることの現われなので、考え直す必要があります。

科目ごとのセミナーなどを受けてみるのも弱点克服の近道です。

税理士の勉強に必要な費用比較

税理士試験の勉強方法は、独学、スクール、通信講座の三種類が代表的です。費用は教材代のみの独学が一番費用を抑えられるのですが、一発で合格するのは難易度が高くなるでしょう。

対してスクールや通信講座ではポイントを絞った時短の学習コースが用意されているため、要領よく学習していくことができます。スクール通学も通信講座も費用の差はあまりなく、テキストは同じで講師のフォローがあるかどうかの違いというところも多く見られます。

勉強の仕方
独学 約52,000円
スクール通学 約225,000円
通信講座受講 約210,000円

税理士資格取得後の就職先や業務内容

税理士の就職先や業務内容をご紹介します。税の専門家として社会から必要とされる税理士の就職先は多くありますが、自分の将来も見据えて現在の職場を決める必要があります。

ゆくゆく独立することを考えている人も最初は税理士事務所に就職して経験を積む人が多く見られます。あらゆる税務を経験することで、税理士としての柔軟で幅広い対応が可能となります。

税理士の就職先

税理士の就職先は様々あります。税のプロフェッショナルとして幅広い社会のニーズがあるため、個人、法人を問わず対応する必要がある職業です。

最近は会社員をしながら副業をする人や、フリーランスの人口も増えつつあるため、個人のニーズも高まってきています。一般的な税理士の就職先をご紹介しますので、職場をイメージして勤務先を考慮してください。

代表的な勤務先の税理士事務所

税について一通りの業務経験が積めるのが税理士事務所です。帳簿代行や法人の決算申告業務、年末調整、個人の確定申告などが主な業務内容で、経営コンサルティングや税務相談も行っています。

事務所によって力を入れている業務分野が異なるため、自分の将来や希望を考慮して総合的に勤務先を決めましょう。ほかにも公認会計士が勤務する会計事務所に就職して、税務を担当することもできます。

市民の税務相談を行う官公庁

市役所や税務署、町役場などの官公庁に就職することもできます。官公庁では市民のための税務相談を行うコーナーが設けられており、税に関する悩みや不安を聞いて適切なアドバイスを与えます

税務署は個人で行う確定申告の指導も行っており、初心者にも分かりやすく説明する必要があります。特に確定申告や企業の決算申告の時期は忙しく、2~5月は税理士事務所と同じく繁忙期となります。

視野の広がる一般企業

節税対策に力を入れている企業にとって簿記や会計の専門家である税理士はありがたい存在です。

効率的な節税を考えるために税理士を社内に置くことを望む企業も近年増えてきています。税理士事務所は税務のみを集中して行う職場ですが、一般企業は税務以外の様々な業務を行えることが利点です。

企業人としての視野を持つことができるため、ゆくゆく独立を考えている人は、企業の立場に立って的確なアドバイスをすることもできます。

税理士の業務内容

中小企業の帳簿代行や法人の決算申告業務、年末調整、個人の確定申告などが主な業務内容です。

また節税の立場から企業の経営コンサルティングを行うこともあり、企業経営者から頼りにされるされる存在です。

相続税や贈与税の申告、事業承継サポートも行っており、世代を超えた資産の形成を助ける重要な業務も行っています。ここでは税理士の代表的な業務内容についてご紹介しているので、仕事をイメージしてみてください。

個人や法人の確定申告

フリーランスや年金生活者の確定申告から企業の確定申告まで、税務の代理を行います。一年間の収入や経費を計算することは煩雑な作業であり、専門家に依頼することが時短につながるため税理士に依頼するケースが多く見られます。

特に企業の税務は複雑で、何十種類もの書類の中から最適なものを選び出し必要事項を記入する必要があるため、専門家の手が必要な場合がほとんどです。

税に関する書類作成

相続や事業継承をすると税金申告が必要になるため、税理士がサポートします。相続税は平成27年に改正があり、相続税の対象になる方の範囲が広がり税率もアップしたため、サポート件数も増えつつある分野です。

このため相続税に特化した税理士事務所も増えつつあります。会社の世代交代となる事業継承も資産の引継ぎが発生しますが、個人の相続税より難解で複雑な業務となるため、経験や知識が豊富に必要となる分野です。

企業の経営相談

中小企業の帳簿代行や決算申告の付随業務として会社の経営相談も行います。節税の視点から長期の経営相談をするため、経営者のよき相談相手となります。

月一回程度会社へ訪問し、売り上げや経費が記された帳簿を見せてもらうと同時に節税のポイントをアドバイスします。

企業の収益アップには無駄な経費の削減が大切であり、第三者である税務の専門家としての視点は大変役立つコンサルティングとなっています。

税理士資格を取るための勉強法

税理士試験の科目ごとの勉強方法をご紹介します。必須科目は簿記論と財務諸表論のみで後は選択となります。

所得税法と法人税法のどちらか一つが義務付けられており、残りの2科目は完全な自由選択となっています。必須科目はテキストも多く出版されており、独学するにしても自分に合った内容の教材を選ぶことができるでしょう。

必須科目を中心に学習の特徴をまとめてみましたので参考にしてください。

科目 学習の特徴
簿記論 計算が試験内容のすべて
財務諸表論 簿記論と内容が似ているが理論もある
所得税法 ボリュームが多い
法人税法 ボリュームが多い
消費税法 シンプルな勉強法

必須科目の簿記論と財務諸表論

税理士試験の必須科目である簿記論と財務諸表論は内容も共通する部分が多くあり、テキストも多く出回っているため学習しやすい科目になります。

この二科目だけなら独学も十分可能で、一回の試験でパスすることもできるでしょう。どちらも計算は時間を計ってスピードアップを目指します。財務諸表論の理論は四月以降でも間に合いますが、計算の総合問題と同時にこなす必要があるため早めの対策が良いこともあります。

ボリュームのある所得税法と法人税法

ボリュームがある所得税法と法人税法は、暗記の量が多くなります。税法は暗記が中心のため、苦手な人は早めの対策を心がけましょう。

法人税法は計算問題に入る前にいったん理論を丸暗記をすると、スムーズに学習することができます。理論と計算を関連付けてつながりを把握することがポイントで、会計とのつながりを確認しながら学習することで総合的な能力が付いていきます。

新しい分野の消費税法

消費税法は新しい分野のため理屈が体系だっており、初心者にも比較的学習しやすい科目です。ボリュームも少なく範囲全体を勉強することができます。

理論と計算があり、理論を丸暗記することから始めます。理論は丸覚えしていれば書ける問題ばかりで、覚えていないと白紙になってしまいます。

計算問題も淡々と解くだけなので、時間配分と判定を間違えなければ合格できる可能性が高くなる科目です。

税理士資格を取るためには計画的に勉強することが大切

税理士資格についてご紹介しました。これまで法律学や経済学を勉強したことがなくても日商簿記検定に合格すれば、税理士試験の受験資格を得ることができます。

また、税理士試験は長期に渡って一科目ずつパスしていくことが可能な特徴のある試験です。働きながら計画的に試験を受けることも可能となる、社会人には取得しやすい資格ともいえます。

時短で一発5科目合格を狙うのなら、スクールや通信講座、セミナーなども考慮してみましょう。

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