リスクがあっても魅力のあふれる危険な仕事を徹底解説
大変そうだけれど気になる危険な仕事
みなさんは「危険な仕事」と聞いて、どのような仕事を思い浮かべるでしょうか。消防士や警察官、または高所で作業をする大工などは身近にある危険な仕事ですよね。ですが、この他にも世の中には多くの危険な仕事があることをご存じでしょうか。
「仕事に命をかける」と聞くと素晴らしいことのように感じますが、実際に命を失う可能性がある仕事に就くとなると抵抗がありますよね。ですが命の危険がある仕事には魅力的なものが多いことも事実です。今回はそんな「危険であっても魅力的な仕事」を解説していきます。
危険な仕事といわれる条件
世の中にはたくさんの危険な仕事があります。命の危険がある仕事に就きたくないと考える人も多いと思いますが、それでも誰かがその危険な仕事をやらなくてはなりません。このように需要が少ない職業のため危険な仕事は高給であることが多いのです。
ですが、高給だからといって安易に始めるには注意が必要です。高給であるということは、それだけリスクが伴います。日々、自分の命を危険に晒す生活を続けるのは精神的にも良いものとは言えません。危険な仕事をするということは、そのような生活に耐えるだけの情熱が必要になるのです。では、危険な仕事はどのようなものを指すのでしょうか。
事故が起きやすい
事故が起きやすい仕事は危険な仕事であると言えるでしょう。レーサーやスタントマンなど、感覚が少しでも狂えば死に直結するような仕事は代表的な危険な仕事ではないでしょうか。
また鉱山や工事現場などの爆破作業員も非常に事故が起きやすい仕事です。爆薬などはしっかりと管理していれば危険は少ないものですが、取り扱いを間違えると大事故を引き起こしてしまいます。このような爆破事故は爆薬の誤った取り扱いをしたことによる人災の場合がほとんどです。
平坦な陸地以外で作業をする
平坦な陸地とくらべ、海や空などの高所で作業をするには大変な危険を伴います。陸地であれば逃げ場がありますが海や高所では何かがあったときに対応が難しくなります。また足場が悪いことが多いために一瞬の気の緩みが死に直結してしまうのです。
事故防止のため安全帯の装着を義務づけられているものですが、ベテランの作業員ほど仕事への慣れから装着の義務を怠ることが多くなる傾向にあるようです。危険な場所での作業は最低限の安全対策を忘れずにする必要があります。
肉体の限界に挑戦する
自分の身体が商売道具であるスポーツ選手やサーカスの団員なども一歩間違えば大ケガをしてしまう大変危険な仕事です。特に野球やサッカーなどのフィールドスポーツに比べて、ボクシングや格闘技系のスポーツは取り返しの付かない事故が起きる可能性が高くなっています。
これらの職業は命の危険があるにも関わらず、高い給料をもらえる人は一部の限られた人だけとなっています。たとえ薄給であっても、これらの職業を目指すのであれば相当な情熱を持って臨む必要があるでしょう。
危険な仕事を調べる方法
消防士や建設業など身近な職業であれば簡単に思い浮かべることができますが他にも様々な危険な仕事があるのです。ですが実際に危険かどうかを印象だけで語ることはできません。危険なように思えても実は意外とそうでもないことがあるのです。
では、どのようにして判断すれば良いのでしょうか。インターネット上には様々なデータを見ることが可能ですが、仕事が危険かどうかを調べるには国が実施している調査や、保険会社の加入条件を参考にすると信頼のおけるデータが得られるでしょう。
厚生労働省の職業別死亡率を見てみる
日本では5年ごとに国勢調査が実施され、国民の就業状況をはじめとする様々な統計を取っています。前回調査が行われた2015年の「職業別年齢調整死亡率」を見てみると業種別死亡率の1位は鉱業となっています。鉱物から金属を鋳造することは非常に危険な仕事であると言えるでしょう。危険な仕事の印象が強い建築業ですが、調査によるとサービス業の死亡率と大きな差がないことが分かります。このように実際のデータと印象では大きく違っていることがあるので注意が必要です。なお下記の厚生労働省のHPより詳細データが閲覧可能です。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/00jdss/kekka2.html
生命保険会社の加入条件を見てみる
保険会社によって異なりますが、危険な仕事に就いていると保険の加入条件が厳しくなることがあります。いざというときのために必要となるのが保険ですが、保険会社も本音を言えばできるかぎり支払いを少なくしたいと考えているのです。
危険な仕事であればあるほど怪我や命の危険が増えることになるため、保険会社もこれらの職業に就いている人への加入条件を厳しく設定せざるをえないのです。このように生命保険会社の加入条件も仕事の危険度を測る有効な手段と言えます。
日本で危険とされる仕事ランキング10
では具体的にどのような職業が危険な仕事であると言えるでしょうか。「職業別年齢調整死亡率」には、あくまでも業種別の死亡率しか載っていないので、ここでは生命保険の加入条件が厳しい順に見ていくことにしましょう。
保険会社によって加入条件は違うものの、以下に挙げる職業はどの保険会社も厳しい審査基準を設定している傾向にあります。そのほとんどが日常の生活とはかけ離れた過酷な状況に身を置く職業ばかりとなっています。
1位:スタントマン
芸能事務所にとって役者は商品です。もしその商品が使えなくなってしまったら困るので代わりにスタントマンを使うわけですね。テレビドラマや映画でよく見るスリリングなシーンには、ほとんどの場合スタントマンが活躍しています。
高所でのアクションや車に飛び乗るシーンは誰も一度は見たことがあるのではないでしょうか。特に全身火だるまになるシーンなどは大変な危険が伴います。過激なシーンの撮影になればなるほど怪我をする可能性が高くなるわけです。
2位:自動車・バイクのレーサー
危険な仕事と聞いて真っ先にレーサーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。普通の道路で制限速度を守っていたとしても事故を起こしてしまえば命の危険がありますが、レーサーはその数倍の速度で走行することになります。一流のレーサーが運転するとトップスピードは時速350kmに及びますが、驚くべき事に新幹線の最高スピードを超えているのです。
一瞬の気の緩みが死に繋がる可能性の高い代表的な職業であると言えるでしょう。またテストドライバーもレーサーと同様に危険な仕事となります。レーサーが車体に求める性能が、実際に備わっているのか何度も試す必要があり、車体の限界まで性能を試すことになるため非常に危険なのです。
3位:プロ格闘家
格闘とはつまり擬似的な殺し合いです。相手を戦闘不能にするということは命を奪う数歩手前まで追い詰めるということなのです。もちろんレフェリーが付いているため危険と判断した時点で試合を止めるわけですが、それでも打ち所が悪く命を落としてしまうケースもあるのです。
格闘技以外にもラグビーやアメフトなど身体が激しくぶつかり合うスポーツは、怪我をする可能性が非常に高いため生命保険への加入条件は厳しくなっています。
4位:坑内作業員
坑内作業員という職業はあまり馴染みのないものかもしれませんが、簡単に説明するとトンネルを掘る職業のことを指します。トンネル工事と聞くと落盤事故を想像する人も多いと思いますが、坑内作業で起きる事故は落盤だけではないのです。
地中に埋まっているのは土や岩石だけではありません。長い年限を経て有毒なガスが溜まっており、十分な換気を行わなかったために中毒を引き起こして命を落としてしまったという事例が数多く起きています。近年では技術の進歩により事故が起きる確率が大幅に下がっていますが、それでも常に危険と隣り合わせの仕事であると言えるでしょう。
5位:潜水作業員
船やダムの修繕、または海底の地質調査など水中で作業を行う潜水作業員も危険な職業でしょう。水中での作業は常に危険がつきまといます。陸上で作業することと違い、水中では常に酸素の確保に気を配らなくてはなりません。酸素がなくなることは死に直結するからです。仮に命を落とさずに済んでも、一時的に酸素不足になったことで脳に重い障害が残ることもあります。
他にも、水中は陸上と比べて身体にかかる圧力が大きいため、圧力の違いから起きる高気圧障害が職業病として問題となっています。この高気圧障害は最悪の場合、肺が破裂して死亡することも考えられます。南国のきれいな海でダイビングをするのとは大違いなのです。
6位:高圧線作業員
日本の一般家庭の電源は100~200ボルトに設定されています。ですが「42ボルトは死にボルト」という言葉を聞いたことはないでしょうか。たとえ42ボルトという低い電圧であっても人間の身体に流れてしまえば命の危険があるのです。
ましてや高圧電線に流れる交流電圧は6,600ボルトにも及びます。人間の身体に流れてしまえばひとたまりもありません。また高所であることで落下事故の危険性も併せ持っています。現代社会にはなくてはならない電気ですが、それを管理する職業は非常に危険な仕事だと言えます。
7位:危険物製造・作業員
火薬や毒劇物に関わる業務も大変危険な仕事です。とりわけ製造過程で起こる事故は被害の規模が大きくなることが多く、自分だけは済まず多くの人を巻き込む可能性があります。危険物を製造する過程においては様々な化学物質が生まれます。多くは可燃性であり有毒であるために取り扱いを間違うことで重大な事故に繋がるケースが多いのです。
また個人が起こしてしまう事故で多いのは危険物を貯蔵するタンク内を清掃する際に残っていたガスによる中毒です。有毒物質は目に見えないため気が付いたときには手遅れだったという場合がほとんどなのです。
8位:ビル壁面清掃員
こちらも代表的な高所での危険な仕事でしょう。高所での作業のため安全帯の装着が義務づけられていますが、突風が吹くなど想定外の事故は起きてしまうのです。
また近年では技術の進歩により自動で壁面を掃除してくれるロボットが開発されています。ロボットのおかげで人間が高所で作業をすることが減ってきましたが、それでもロボットでは拭き取りきれない汚れは人間が直接きれいにするしか方法がないのです。たとえ高層ビルでなくても一軒家などでも落下事故の危険性はあるため注意が必要です。
9位:漁業従事者
漁業における死亡事故の内訳を見てみると圧倒的に溺死が多くなっています。海上で作業をするわけですから当然のように感じますが、実際はそのほとんどが業務の慣れによる救命胴衣の非着用が原因なのです。
また海上での事故は溺れることだけではありません。魚を獲るための網やロープに巻き込まれたことによる圧死や漁船のスクリューに巻き込まれるという事故も起こりえるのです。船上は濡れていることが多く大変滑りやすいために、このような事故が起こりやすい状況となっています。
10位:警察官・消防士などの保安系公務員
警察官や消防士、または自衛隊員などの保安系公務員もたいへんな危険が伴う仕事でしょう。これらの職業は、ひとたび災害や事故が起きればいち早く現場に駆けつけ救助や避難活動をしなければなりません。救助活動をしていた消防士や警察官が二次災害に巻き込まれてしまったという話は聞いたことがあると思います。
実際に東日本大震災の際には、20人以上の警察官が避難誘導中に津波に巻き込まれて亡くなっています。このように非常時には自分の安全よりも住民を第一と考え行動しなくてはならないため、他の危険な仕事と比べると特殊であると言えるでしょう。
危険な仕事を目指すなら魅力とリスクをよく考えよう
危険な仕事は世の中になくてはならない重要なものばかりです。多くの人がやらないことだからこそ、そこにはたくさんの魅力があります。
ですが、もしあなたがこれらの危険な仕事を選ぶのであれば、それだけ大きな覚悟が必要となります。周りの大切な人達から反対されることもあるでしょう。それでも危険な仕事に就くという決意があるのならば、誰もあなたの道を阻むことはできません。
十分に注意をしながら胸を張って業務を行って下さい。危険な仕事は誰にでもできる仕事ではないのです。