仕事辞めたい

失業手当をもらうなら扶養に注意。チェックすべき4つのポイント

ANTLEY編集部

扶養に入りながらの失業手当受給には注意が必要

「扶養に入ってるけど、失業手当も受給したい」と考えている人、または「失業手当をもらってるけど、扶養にも入りたい」という人はいないでしょうか?

原則として、扶養に入っている場合は失業手当を受給することはできませんしかし、失業手当の金額(基本手当日額)によっては、この限りではありません。少し複雑な仕組みのため詳しく説明していきます。

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失業手当と扶養控除はどんな関係?

女性が結婚をして仕事を辞めることになった場合、よく取り上げられるのが「失業手当を受給したほうが得か」、または「扶養控除を受けたほうが得か」といった話題です。

子供が生まれると何かとお金がかかるので、少しでも損をせずに、そして賢くお金を活用したいと考えるのは人情です。そこで、失業手当と扶養控除の関係について見ていきます。

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「失業手当」は生活を立て直すための資金

まず「失業手当」は、自分の給料から雇用保険を掛けておくことで、会社を辞めざるを得なくなった際に受給できる手当のことを言います。仕事が見つかるまでの生活を立て直すための資金として国から支給されます。

従って雇用保険を掛けていなかった場合は、失業手当を受給することはできません。支給額の根拠は、働いていたときの給料の金額によります。

「扶養控除」は税金の一定額を免除される

「扶養控除」は、納税者の親族に所得税法の上で控除の対象となる「扶養者」がいる場合、納めるべき税金の一定額を免除される制度です(所得税と住民税が減額、社会保険は免除)。

「扶養者」とは、同一世帯の配偶者・子供・孫・弟妹で、養われている状態を言います。対象者に年間収入があっても、“130万円”未満の場合、または納税者の年間収入の1/2未満の場合は対象となります。

扶養控除と失業手当を両方受けるには条件がある

原則、扶養者は失業手当を受給することはできませんが、例外があります。それは、失業手当の基本日額が3,612円未満の場合です(60歳以上は5,000円未満)。

年間合計で130万円未満の収入となるため、扶養者になることができるのです。しかし、所定給付日数が1年に満たず受給総額が年間130万円でも、基本日額が3,612円以上の場合は、扶養者になることはできません。

出典:健康保険制度に関係するよくあるご質問Q&A(一般の方向け)

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扶養を外れる・外れないの判断のポイントとは?

扶養を外れるということは、これまで控除されてきた「社会保険料」「所得税」「住民税」を自らが納め、「配偶者控除」も適用外になるという事です。

これらの保険料には、各々扶養を外れる金額が定められているのです。扶養を外れるか外れないかのポイントは、これらの税金の支払い額によります。

扶養から外されるのは年収130万円


パートやアルバイトなどの雇用形態に関係なく、妻の年収が130万円を超えた場合に配偶者の扶養から外れることになります。そうすると、妻は自分で社会保険に加入する義務が発生します。また、夫に子などの扶養家族がいない場合は所得税が増えることになります。

この部分が、扶養から外れる分岐点です。例え年収が増えたとしも、支払う税金が多くなる場合もあるのです。

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子供も130万円を超えると扶養から外れる

130万円は扶養から外される分岐点となりますが、配偶者だけではなく、学生である子供もパートやアルバイトで年収が130万円を超えると、親の扶養から外れなくてはいけません

その場合は、やはり自分自身で社会保険(国民健康保険・国民年金)を収めるか、パートやアルバイト先の社会保険に加入する義務が生じるのです。

「配偶者控除」は年収201万円まで

扶養控除とは別に、妻の年収150万円までは配偶者控除が一定の金額で適用されます(夫の所得額による)。つまり、38万円を受けられるという事になります。

限度額の150万円を超えて“夫から独立した納税者”となっても、年収201万円までは収入に応じて控除される制度です。控除対象から外れるのが201万円以上なのです。

住民税は年間給与収入が100万円以上から

都道府県税と市町村税をセットにして「住民税」となります。支払額は各自治体によって異なりますが、名古屋市を例に挙げてみましょう。

扶養内であれば0円の住民税は、年間収入が101万円の場合は6,700円となります。年間収入130万円の場合は、33,800円となります。扶養を外れたほうがお得ですが、微妙な金額差のため注意が必要です。

扶養から外れる場合に稼ぎたい最低年収

妻が130万円を超えて働きたい場合は、各種税金等の支払いで負担が大きくなり過ぎないように、最低でも150万円は稼ぐ必要があります。この場合の自分で支払う社会保険料の目安は、年間で30万円と覚えておきましょう。

さらに、配偶者控除もなくなることを想定し、追加で20万円、合計で170万円は稼いだほうが良いとされている金額です。

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扶養を外れずに失業手当をもらうとどうなる?

扶養を外れる分岐点となる収入について説明してきましたが、残念ながら、扶養を外れずに失業手当も受給するケースも多々発生しているようです。しかし、知らなかったとしても、これは法律上、犯罪として扱われます

そのため、“ばれた(発覚した)”場合は「失業手当の不正受給」として様々な罰則が適用されてしまいます。ここではその内容について説明します。

失業手当が受給されなくなる

ハローワークでは常に監視体制を敷いており、「ばれない」とタカをくくっていても必ずばれる日が来ます。そうなると、まず「支給停止」と言う罰則が適用され、不正行為が発覚した日のあとは、すべての失業手当の受給が停止されてしまいます。

不正ではなく、本来はもらえるはずだった失業手当の受給資格までも失ってしまいます。本末転倒という事態になってしまうのです。

不正受給した全額をすぐに変換する

こちらは「返還命令」と言う罰則で、不正に受給した失業手当の全額をすぐに返還しなくてはならなくなります。

もしお金が無くなってしまっても、ハローワークでは強固な態度で返還命令をしてきます。本人はばれないと思っていても、身近な人物がハローワークに密告をする可能性も高いのです。

3倍の額の納付が命じられる

「納付命令」という罰則はさらに重く、安定した仕事に就いていながら申告をしなかったときなどは、3倍の金額の納付が命じられます。いわゆる3倍返しと表現されているものです。

もしかしたらほんの出来心かもしれまんし、生活費に困って止むに止まれぬといった気持になったのかもしれません。しかし「大変なのは自分だけではない」という事を肝に銘じましょう。

財産差し押さえ・強制処分をされる

もし、「返還命令」や「納付命令」に従わない場合は、財産が差し押さえられたり強制処分がなされたりします。これまでに大切にしてきた大切な財産が差し押さえられるのです。

最悪なことには、自宅までも渡さなければならなくなるかもしれません。「自分さえよければいい」という考えが、結果として自分の首を絞めることになるのです。

詐欺罪で処分される

さらに悪質だと判断された場合は、刑事事件として取り扱われ、詐欺罪が適用されます。

かつて、100万円の不正受給は、返済金100万円に遅滞金と納付金の200万円の合計で300万円、さらに年5%の延滞金の返却を命じられてしまったケースが大阪でありました。家族にも多大な迷惑をかけてしまいます。

扶養の変更に必要な手続きとは?

配偶者の年収が130万円以上となり、扶養を外れたほうが家計も助かるし、配偶者も生き生きと働けると判断した場合は、扶養から外れる手続きを取りましょう。その手続きを「被扶養者の削除」と言います。

この手続きは、ハローワークに届けるのではなく、年金事務所に被保険者の会社を通じて諸手続きを行います。詳しく説明していきます。

被保険者が「被扶養者(異動)届」を提出する

まずすべきことは、被保険者(税金を支払っている人)が会社を通じて「被扶養者(異動)届」を日本年金機構へ提出しなければいけません。

担当部局の年金事務所によると、詳細は次の通りになります。

[box_checkpoint title=”チェックポイント”]

  • 提出時期   その都度
  • 提出先    郵送で管轄の年金事務所へ
  • 提出方法   電子申請・郵送・窓口持参

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出典:従業員の被扶養者に異動があったときの手続き

健康保険被保険者証も提出する

被保険者は、「被扶養者(異動)届」と共に、扶養者の「健康保険被保険者証」も提出しなければなりません。この場合は、被保険者の健康保険被保険者証の提出は必要ありません。

以上のように扶養を外れる手続きは、保険に入っている家族(主に夫)の会社にお願いして手続きをしてもらうことになります。慎重に考えて手続きを行いましょう。

資格喪失証明書を受け取る

最後は、「資格喪失証明書」を受け取って完了です。この資格喪失証明書は、妻が扶養から外れたことを証明する書類となります。妻が国民年金や国民健康保険に加入するときの手続きに必要ですので、無くさないようにしっかり保管をしましょう。

この後は、妻の会社が社会保険加入の手続きをしてくれます。または、妻が自分で14日以内に国民年金と国民健康保険の加入手続きを行わなければなりません。

状況に合わせた正しい判断をしよう

失業手当と扶養控除の関係、扶養を外れるポイント、失業手当を不正受給した場合の罰則、扶養を外れる手続きについて説明してきました。扶養を外れるかどうかは、配偶者である妻の年収の額によります。

あまり働く必要がないようでしたら扶養の範囲内で働き、バリバリ働きたい場合は200万円近く稼ぐつもりで頑張るのがおすすめです。いずれにしても、状況に合わせて正しい判断をしましょう。

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