司法書士の資格を独学で取得するのは可能?勉強のコツと注意点
司法書士の資格は独学でとれるもの?
司法書士試験は、難易度が高く合格率も他の資格に比べるとかなり低いのが特徴です。しかし、結論を先に言えば独学で司法書士の資格を取ることは可能です。但し、情報収集をしっかり行い、間違った勉強法をしなければの話しです。
司法書士試験は、11科目あり覚えることも多く膨大な知識を頭に詰め込まなくてはいけません。やみ雲に勉強していては、何年経っても資格を取ることは不可能です。これから独学で司法書士試験の合格を目指すあなたに、合格に必要な情報を集めました。
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まずは司法書士資格について理解しよう
独学で司法書士を目指す前に、まずは資格について改めて確認しておきましょう。資格の概要や合格率、難易度などをしっかり把握しておくと、勉強をする際のスケジュール作成やモチベーション維持に役に立ちます。
資格取得には、その試験の特徴や概要をしっかり押さえておく必要があります。司法書士試験の勉強だけではなく、試験に対する知識も改めて理解を深めておきましょう。
司法書士資格の概要
司法書士資格は、国家資格で司法試験に次いで難関の資格と言われています。
年齢制限も学歴の制限もないので、高卒でも受験できますし、大学在学中に資格取得した人もいれば高齢で取得した人もいます。但し、やはり難しい試験なので、キャリアを積んだ人でなくては、合格はかなり難しくなります。合格者の年齢で一番多いのが30代ということが、それを裏付けています。
資格概要 | |
試験の開催時期 | 筆記試験:7月上旬 口述試験:10月中旬 |
受験料 | 8000円 |
申込受付時期 | 例年5月中旬~5月下旬 |
年齢制限 | なし |
学歴制限 | なし |
その他制限事項 | なし |
合格基準 | 多肢択一式問題:105点中75点(得点率75%~83%) 多肢択一式問題:105点中72点(得点率68%~80%) 記述式問題:70点中34点(得点率50%~70%) 上記の得点に該当しても、上位者から順に合格が決まるので獣医次第では不合格になることがあります。 |
合格発表時期 | 11月上旬 |
司法書士の試験の形式
司法書士の試験は、1次試験が筆記試験、2次試験が口述試験という形式で行われます。
1次試験は、午前の部と午後の部に分かれており、午後の部はマークシート方式と記述式を行います。筆記試験に合格すると、口述試験を受験しますが、こちらは筆記試験合格者のほとんどが合格します。
形式 | 内容 | |
筆記試験(午前の部) | 五肢択一式(マークシート方式) | 憲法 3問 民法 20問 刑法 3問 商法 9問 |
筆記試験(午後の部) | 五肢択一式(マークシート方式) | 不動産登記法 16問 商法登記法 8問 民事訴訟法 5問 民事執行法 1問 民事保全法 1問 供託法 3問 司法書士法 1問 |
筆記試験(午後の部) | 記述式 実際の登記申請書に記載する内容を問われる |
不動産登記法 1問 商業登記法 1問 |
口述試験 | 面接形式による質疑応答 | 例年、科目は不動産登記法・商業登記法・司法書士法から出題。 筆記試験に合格した者は、ほぼすべて合格。 |
司法書士の近年の合格率
司法書士試験の合格率は、年度によって変わりますが直近の5年間の平均は約4%とかなり低めです。平成に入ってから、ジワジワと合格率はアップしていますが、他の資格試験の合格率と比べると難易度の高さが分かります。
具体的に、ここ数年の合格率を見てみましょう。
年度 | 合格率 |
2018年 | 4.32% |
2017年 | 4.07% |
2016年 | 3.95% |
2015年 | 3.95% |
2014年 | 3.77% |
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司法書士を独学するメリット
司法書士は総合的にみてあまり独学には向かない、非常に難しい試験ですが、それでも独学を選ぶ人は以下のようなメリットを理由にしています。
費用が安く済む
司法書士資格は、独学であっても必要な教材が多く、テキストなどで約5~20万円かかるとされています。それでも、通学講座や通信講座よりは安上がりです。
勉強の仕方 | 費用 |
独学 | 約50,000~200,000円 |
スクール通学 | 約200,000~550,000円 |
通信講座受講 | 約50,000~500,000円 |
とにかく費用を抑えたい場合は、中古で買えるものは中古で揃えて、完全独学を目指しましょう。
自分のペースで勉強できる
独学であればスケジュール管理も自分次第です。「何曜日の何時から駅前のスクールに通学しなければいけない」ということもありません。予定の読めない仕事をしながらだったりと、通学講座の受講が難しい人は、独学に挑戦してみましょう。
場合によっては、独学が難しそうな科目だけに限って、いつでもWEBで見られるオンデマンド講座を契約し、独学と組み合わせるのもおすすめです。
他人の学習ペースに惑わされずに済む
通学講座だと、同じ目標に向かう仲間が見つかりますが、同時にその仲間たちをライバル視してしまうこともあります。もともと基礎知識がある人や、時間に余裕があって勉強ペースの早い人に、つい要らない嫉妬心を抱いてしまったり……。
もし自分が、他人に惑わされてストレスを抱えるタイプだと自覚できているなら、他人と関わることのない環境で独学に専念しましょう。
他人がどんな勉強をしているのか知りたくなったら、そのつどSNSなどで体験談を探すだけでも充分です。
司法書士を独学するデメリット
一方、司法書士を独学するデメリットは以下のようなものです。
難易度が高いので独学では合格可能性が下がる
司法書士の資格は、試験範囲がかなり広く多くの知識が必要なので、十分な勉強時間を設ける覚悟が必要です。試験に合格した人の中には、1日10時間や仕事終わりに毎日5時間以上、時間が取れない人は3~4年以上かけて合格している人などがいます。
難易度の高い資格なので、他の資格のようにコツを掴めば短期間で合格できるようなものでないことは理解しておかなくてはいけません。
独学難易度 | |
必要な勉強時間 | 2500~3000時間以上 |
独学で合格できた人の割合 | 約1割強 |
難易度判定 | ★★★★★ |
相当の自己管理が必要
司法書士の勉強には、学習効率のよい通学・通信講座を使っても、3,000時間ほどが必要になると言われています。独学だと進め方がわからず非効率になるところもあるので、おそらく3,000時間では済みません。
それだけの学習時間を確保するには、自己管理能力が必要です。「今日はいいか」の積み重ねが諦めに繋がってしまいます。
もともと塾を使わずに難関大学に合格したことがあったり、別の難関資格を自力で取得していたりと、成功体験がある場合は別ですが、そうでない人がいきなり3,000時間以上の学習が必要な試験に独学で立ち向かうのは、相当な自己管理が必要だと覚悟しておきましょう。
教材選びが大変
通学・通信講座では、最新の法律や学習ノウハウにもとづいた独自のテキストを購入して使います。しかし独学では、数多くある市販のテキストの中から、自力で選ばなければいけません。
最新情報に対応していて、必要な知識が不足なく身につき、かつ自分にとって読みやすく使いやすい……そんなテキストを探すだけでも手間がかかります。独学はテキスト選びの時点からもう成功が左右されているのです。
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独学で司法書士を目指す現実的な方法
司法書士資格は、難易度の高い試験なのでヤル気や努力だけでは合格しません。また、時間や期間を多く設ければいいというものでもないので、資格試験を始める前に合格するための現実的な方法を理解しておかなくてはいけません。
これから独学で勉強を始めようと思っている場合は、ここをチェックしてあなたに合った勉強法とスケジュールをしっかり設定してください。また、勉強を始めた後も方向性が間違っていないか、定期的に確かめてください。
1年以上の勉強期間を設けておく
資格を取得しようとするとき、多くの人ができるだけ短期間で合格しようと思いがちです。他の資格試験なら可能でも、司法書士の資格は短期間で取得できるものではありません。
もちろん、これまでの経験や知識、個人の能力によっては短期間での取得も可能ですが、一般的には非現実的です。これから勉強を始めるなら、最低でも1年以上の勉強期間は設けてスケジュールを立ててください。
通信教育を併用する
独学の場合、方向性を見失いがちですし苦手科目を克服するのに時間がかかることもあります。完全に独学で合格を目指すのは非効率になることがあるので、通信教育などを併用する方が合格の近道になります。
試験範囲の広い司法書士試験は、勉強をしていると色んな情報に振り回される危険があります。しかし、通信教育などで勉強のコツや出題傾向などを理解していれば、あなたの勉強効率は飛躍的に良くなるでしょう。
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苦手な科目のみ予備校を利用する
予備校やスクールに通わない選択をする人は、仕事の都合で通う時間のない人や、資格試験に費用を掛けられない人がほとんどです。しかし、独学で壁にぶつかった場合は、予備校などを利用すると解決策が早く見えることが多いものです。
すべての科目を受講するのが難しいなら、苦手科目のみを受講するのもおすすめです。勉強以外にも、他の受験者に会うことでモチベーションも高まりますし、合格への思わぬヒントが得られることもあります。
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スマホやネットをフル活用する
仕事をしている人や、勉強に時間をあまり掛けられない人は、スマホやネットをフル活用しましょう。無料動画で、司法書士試験についての講義をアップしている人もいますし、勉強のコツを教えてくれるサイトもあります。
スマホなら通勤中や会社の昼休みでも、資格の勉強や情報収集ができます。自宅に帰ると勉強するモチベーションが下がるのなら、ネット環境のあるカフェなどで勉強をすることも可能です。隙間時間をフルに活用するなら、スマホは最適なツールになるのでぜひ活用しましょう。
司法書士を目指す仲間を見つける
1人で勉強していると、モチベーションが持続せずヤル気がなくなってしまうことがあります。また、勉強法を間違っていても、指摘してくれる人や比較できる人がいなければ訂正できません。
独学で確実に合格を狙うなら、こうした悩みを解消できる仲間を持つと、効率よく勉強が進められます。人と接することが負担になる人は別ですが、怠け癖がある人や飽き性な人は、ぜひ仲間を見つけて情報交換や勉強会を楽しみましょう。
独学で司法書士を目指す場合の注意点
これから独学で司法書士を目指す人は、コツの他にも注意点も理解しておかなくてはいけません。間違った勉強法やスケジューリングをしてしまうと、非効率な勉強になってしまい資格取得に何年もかかってしまいます。
勉強を始めてからも、定期的に間違った勉強をしていないかチェックして、できるだけ短期間での合格を目指しましょう。
学習スケジュールをきちんと立てる
どの資格の勉強をするにも、正しいスケジュールを立てることは大切です。司法書士の試験は、出題範囲が11科目と広いので特にスケジューリングが重要になります。
重要な部分を飛ばしたり、必要のない勉強に力を入れたりして時間を無駄にするということのないよう、しっかり調査した上でスケジュールを立ててください。勉強の遅れなども、スケジュールを立てていると分かりやすいので、やみ雲に勉強を始めないように注意してください。
経験者の意見を参考に勉強を進める
独学の怖いところは、勉強の方向性を見失う点とモチベーション維持が難しい点です。スクールなどを受講すると、これらの心配はありませんが1人で勉強する場合は工夫が必要です。
そこで、資格試験に合格した人や司法書士として働いている先輩などの、相談できる人を探しておくと安心です。アドバイスをくれる相手がいれば、勉強が我流になりすぎませんし、その人と話しをするだけでもモチベーションアップにつながります。
自己流の方法にこだわらない
資格取得の経験が複数ある人ならいいのですが、試験に慣れていない場合は自己流で勉強を進めるのは危険です。信頼できる人やブログのアドバイスの通りに進めなくては、非効率になることが多々あります。
「俺はこうする」「この方法よりこっちの方が効率がいい」など、勝手に判断してスケジュールや勉強法を変えないよう注意しましょう。独学の場合は、特にこれが原因で合格できないことが多いので、アドバイスは素直に取り入れましょう。
たくさんの情報に振り回されない
司法書士試験に合格するには、11科目という広い範囲の知識を得る必要があります。こうした勉強をしていると、自分の勉強方法に自信がなくなり、本やネットの情報に目移りすることがあります。
少しでも多くの情報が欲しくなる気持ちは分かりますが、色んな情報を見過ぎると本当にすべきことが見えなくなり、勉強効率が低下します。独学の場合は、あなたが信じられる情報を数本に絞って、他の情報に振り回されないでください。
試験直前まで諦めない
スクールなどに通っていれば、試験直前になると講師や学生の士気が高まるので、自然と自分もヤル気になります。しかし、独学の場合は1人なのでモチベーションの維持が難しいのがデメリットです。
試験直前になると、何も覚えられていないような気がして勉強へのヤル気が落ちることがあります。しかし、試験直前が一番力が伸びる時期です。最後まで諦めず勉強を続けられる工夫をして、試験当日まで努力しましょう。
独学で司法書士試験を受けた体験談
どんな言葉より、実際に独学で試験に合格した人の話を聞く方が、今後のあなたに活かせるでしょう。いくつかの体験談をご紹介するので、今後同じような悩みを抱えたり、壁にぶつかったりしたときの解決するヒントにしてください。
独学の悩みを抱えている人は多いのですが、その数だけ合格した人がいることは忘れないでくださいね。
テキストの選び方は好みを重視
独学で勉強する場合、テキスト選びはかなり重要です。しかし、本やネットで検索すると色んなテキストが紹介されていて、何を選ぶべきか悩んでしまいますよね。テキスト選びの体験談を見てみましょう。
[review sex=”man” job=”会社員” title=”紹介している人の人柄を重視” rate=”4.0″]独学2年目で合格したけど、テキスト選びは重要だと思います。色んな人がそれぞれ好みのテキストを紹介しているんだけど、僕は紹介している人の人柄を重視して選びました。他のアドバイスなんかもすんなり入ってくるから、勉強法に迷うこともなくて結果良かったと思います。[/review]
テキストを紹介している人の文章が、すんなり入ってくるということは、あなたと似た個性を持っている人と言えます。そうした人を参考にすると、ブレがなくなります。また、たくさんの人が紹介しているテキストも押さえておきましょう。
仕事をしているとストレス解消が難しい
多くの人は、仕事をしながら司法書士試験に挑むことでしょう。仕事をしながら独学で勉強を続けるのは、とても根気のいることですが実際にどんなストレスを感じていたのでしょうか?
[review sex=”woman” job=”OL” title=”独学はストレス発散が難しい” rate=”2.5″]私は仕事をしながら独学で試験に挑みましたが、仕事で嫌なことがあっても帰宅後や休日は勉強をしなくてはいけません。ストレス発散ができないのがとにかく辛かったです。[/review]
休日は、通常仕事のストレスを発散するために使うべきですが、勉強をしなくてはいけないのは辛いですよね。独学でストレスを溜めないためには、10分程度でできるストレス発散法を見つけたり、仲間と勉強するなどの工夫が必要です。
模擬試験は活用しよう
独学は、完全にひとりで勉強し続けるだけだと、自分の実力が分かりませんし苦手な分野を知ることもできません。そこで、模擬試験を受けて合格につなげた人の体験談を見てみましょう。
[review sex=”man” job=”会社員” title=”独学でも模擬試験には挑戦” rate=”3.8″]現時点での実力や苦手分野を把握するためにも、僕は模擬試験を数か月おきに受けていました。最初の試験はボロボロでしたが、それがヤル気となり勉強にも身が入りました。何度も受けていると合格点に達するようになってきたので、自分の自信につながりました。[/review]
ひとりで長期間勉強していると、目的が見えなくなってしまうことがあります。模擬試験を受けることで、短期的な区切りができるのでモチベーションの維持にもつながります。
独学での司法書士資格合格に向けて計画を立てよう
司法書士資格は、無駄のない計画と正しい勉強法、少しの工夫で取得は可能です。あなたの性格を考慮して、さっそく試験までの計画を立てましょう。計画は、度々チェックして軌道修正を行うと、より効率的な勉強ができます。
試験を突破すれば、人のためになれるやりがいある仕事が待っています。上手くストレス発散しながら、合格まで走り切ってくださいね。